12・7甲山事件学習会
12月7日、甲山事件の元被告、山田悦子さんをお招きして「冤罪事件」の学習会を行いました。山田さんのご希望で、ごく内輪の学習会ということで14人の参加で行いました。
甲山事件は、1974年3月、兵庫県西宮市の知的障害児の収容施設「甲山学園」で2人の子供が相ついで死亡するという事件をめぐって起こった冤罪事件です。山田悦子さんは、不起訴処分から一転して78年の再逮捕、そして3度の完全無罪を勝ち取って、1999年全ての裁判が終わるという25年もの長い裁判闘争を余儀なくされました。
子供の行方不明の捜査のために常駐していた西宮警察の目の前で2人の死亡が発見され、不手際に慌てた兵庫県警の「園内の職員による殺人事件」という見込み捜査がすべてのはじまりでした。物証もほとんどないままの見込み捜査は、先ず、兵庫医大から来ていたアルコール中毒患者で社会復帰の仕事についていた男性に先ず狙いが定められ、全員が無関係とされました。次いで警察が目を付けたのが、「女性は生理の時に精神が不安定になりやすい」という差別感情を前提に職員が絞り込まれ、22歳で生まれてはじめて親しい人間の死に直面して精神的にダメージを受けていた山田さんが、「犯人」とされたのです。(詳しい経緯は、「甲山事件」ホームページの「事件の経過」に非常に判り易く書かれていますので、そちらをご覧ください。)そして、山田さんを「殺人犯」に仕立て上げるために、警察・検察の障害者への差別的意識をもとに知的障害者である子供たちを利用した「供述調書」が組み立てられ、ねつ造されていったのです。
星野文昭さんへの、物証もない中で「殺人罪」の汚名が着せられていく過程を思い起こしながら、そのおぞましさに怒りがこみ上げてきました。
進む「司法改革」の中で、厳罰化主義の進行に警告を発しつつ、山田さんは、裁判員制度の仕組みの中で、過去の冤罪事件の再審がかってなく困難になっていることを指摘された。「検察官控訴」の問題性を指摘しながら、私たち市民の側が、憲法や世界人権宣言などを根拠に闘うべきで、「感情論では戦えない」「政治がこれほど病んでいる時に、裁判が良くなるはずがないことを考えるべき」と、私たちに指摘された。
あとの交流会も含め、山田さんの言葉や表情をうかがいながら、「25年の闘いが人を育てている」ことを強く感じ、彼女の「しっかりと、しかし楽しくやりましょうよ」という言葉に大いに励まされました。
なお、この日開かれた「兵庫・星野文昭さんを救う会」の世話人会で、会の世話人である木下達雄さん(浄土宗大林寺住職)から、「死刑廃止」を求めてやっておられる運動の中からの「司法改革」「厳罰化主義の進行」などの状況について次回の学習会を開くことが決まりました。日時は、3月1日(日)、午後2時からで、会場については後日連絡させていただきます。(会議のときは、2月22日といったん決まりましたが、木下さんの都合により変更させていただきました。)
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