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星野さんは無実だ(3)

Photo_2 再審を実現するために

 星野文昭さんをとり戻すには、再審を実現することが必要です。裁判をやり直し、「殺人」に関して無罪を勝ち取るのです。
 白鳥決定(1975年)で、最高裁はふたつの重要な基準を示しました。
 その1は、「新旧証拠の総合的評価」です。それ以前の裁判では、それだけで無罪を証明するような新証拠がない限り再審は認められないとされてきました。これは、無実を訴える受刑者にとってあまりにも過酷です。これに対して、新証拠が元の裁判に出されていたとすればどうなるかを総合的に評価する、という新しい判例を示したのです。
 その2は、「疑わしきは被告人の利益に、の鉄則は再審にも適用される」ということです。被告人が有罪であることを立証するのは検察官の仕事です。その立証内容に疑問が生じた時、被告人は処罰されないのです。この近代裁判の鉄則が、再審事件においても適用されるとしたのです。
 この最高裁白鳥決定の後、「財田川」「免田」など4件の死刑事件で再審が認められ、一時は、再審の門が大きく開かれました。現在、名張事件や布川事件で再審開始が決定されましたが、一方、横浜事件や大崎事件で開始決定が出されたにもかかわらず、横浜事件では「免訴」という検察側主張に沿った決定が出され、戦前の治安維持法下の国家によるデッチあげが裁判によってもみ消されました。さらに、大崎事件では、最高裁がたったの6行で開始決定を棄却しました。この2つの再審では、再審開始決定が裁判所によって軽々しく扱われ、開始決定が再審の趣旨に反する判断がなされています。近代裁判の鉄則である「疑わしきは被告人の利益に」を再審にこそ適用すべきであるという原則を裁判所に守らせるために大きな社会的力が必要であると痛感します。

 04年1月19日、東京高裁第12刑事部は、星野文昭さんが申し立てていた異議を棄却する決定をしました。これは、2000年2月に提出した、再審請求棄却に対する異議を退けるものです。
 決定文を見ると、再審弁護団が提出した11の新証拠をひとつずつ個別に検討し、「これだけでは再審を開始できない」と順番に切り捨てています。これでは、先に見た最高裁白鳥決定以前への逆戻りです。
 しかも、星野さんの無実を示す服装の色に関して、「確定判決の前に提出されていたとしても影響を及ぼすことが極めて小さい証拠」としています。高裁自身は、星野さんの服装の色をどう認定するか、ひとことも述べていません。こんな卑劣なことがあるでしょうか。確定判決は、星野さんの服装を「きつね色の背広上下」とはっきり認定しているのです。ここが崩れたら、確定判決全体が崩れてしまうのです。だから、服装の色に関する新証拠は決定的な意味を持っているのです。

 星野さんを取り戻そう

 私たちの目標は、ただひとつです。言うまでもなく、星野文昭さんを私たちの手にとり戻すことです。
 これを実現するために、3つの闘いがあります。
 1つは、裁判闘争です。2つは、社会的運動です。3つは、釈放要求です。
 1.裁判は、今、最高裁に移っています。星野文昭さんと弁護人は、東京高裁が出した08410 不当な棄却決定を取り消し、再審開始を決定するように求めています。
 裁判の焦点は、事実調べの開始と証拠開示、このふたつです。弁護団が心血を注いで完成した申立書と補充書を判断するためには、事実調べが不可欠です。最高裁は事実調べを行え、と要求しています。
 検察官は、いまだに証拠を隠し持っていて、それを明らかにしようとしません。その中に、星野さんの無実を示すものが含まれているのは、間違いありません。最高裁が、検察庁に証拠開示を命令するよう求めています。
 2.これまでの再審裁判で、大きな社会的運動なしに勝利した例はありません。
 日本における再審は、長い間「開かずの扉」と言われてきました。それほど困難なのです。このような状況を打ち破り、再審を実現するためには、第3小法廷に私たちの声を届け、多くの人たちが関心を持っていることを示さなければなりません。
 そのために、新たな星野再審・無罪と釈放を求める署名を訴えています。ぜひ、ご協力をお願いします。

 最初の絵は 「心を豊かにするアネモネ」 と題する文昭さんの作品です。右下の写真はつれあいの暁子さんです。なお、本文は、「東京・なんぶ星野文昭さんを救う会」ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/pinchag_38310_yo よりの無断転載です。

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